(文責・伊東乾 東京大学助教授:学術創成知識構造化プロジェクト)

*イントロ:「IT革命以後」の生活を変えるものは?

2004年新春の日本、家電製品「新3種の神器」として「デジタルカメラ」「薄型テレビ」「DVDレコーダ」の急速な普及が指摘されている。平成構造不況と言われる中でも成長著しいこれら三つに共通する要素は何か? 

それは「ヴィジュアル(視覚)コミュニケーションツール」である、ということだ。

すでに携帯電話が広く個人単位に普及し、音声だけでなく画像や電子メールの交換が一般化している「IT革命以後」の日本社会。市民生活を大きく変化させる「テクノロジートレンド」を予測する上で「視聴覚コミュニケーションメディア」がひとつの鍵になる、と東京大学工学部・学術創成知識構造化プロジェクトグループは考えている。

そして、この方向性での「ネクストスタンダード」次世代国際標準を左右するものとして、いま「3D」技術が、広く社会の注目を集めているのである。


*鍵は「3D」技術

2003年12月からの地上波デジタル放送が開始される。デジタル化に伴って、もし「3D化」が放送分野を含めて進展するとすれば、いま世代交代の進んでいる上記「3種の神器」のすべてが、「3D対応」の世代交代を迎えることになる。つまり「3Dデジタルカメラ」「3D薄型テレビ」「3D−DVDレコーダ」の開発、普及が、広く国際シェアも念頭に期待されているのである。

2003年3月、シャープ、三洋電機、ソニー、NTTデータと伊藤忠が幹事となって「3Dコンソーシアム」が設立された。液晶3D技術は、IT革命後の世界市場に日本、韓国、台湾、中国の極東地域が圧倒的シェアを誇っている。つまり、国際競争で日本がこれから新たな「勝ち」に勝負を賭けられる、期待の産業分野が「3D産業」ということになる。この「3D」に焦点を当てつつ、「独立行政法人化」直前の東京大学・安田講堂から社会に新たな風を送り出すべく、読売・東大学術創成シンポジウム「3D技術で生活が変わる! アート・テクノロジ・ブレイン2」が企画された。


*社会の心臓部から「動かす」

シンポジウムは「起」「承」「転」「結」の4部からなる。

まず開会にあたって東京大学から小宮山宏副学長、大垣眞一郎工学部部長、読売新聞社から瀧鼻卓雄副社長から挨拶ならびにイントロダクションがあり、つづいて起承転結の四部からなるシンポジウムとなる。

第一部「起」は日本大学の瀬在幸安総長の基調講演からスタートする。瀬在総長は心臓外科、人工心臓の世界的権威として知られ、また、卓越した大学経営手腕でも名高い。国民生活変化の「心臓部」、いのちに関わる部分で、とりわけ「大学」「研究教育機関」に今なにが求められているのか、「社会からの付託」として幅広い範囲から問題が提起される。

これを受けて、東京大学名誉教授で、IT戦略国民会議副議長も務めた石井威望・東京海上研究所理事長から応答基調講演がある。医師でありかつエンジニアでもある石井教授は、人工心臓のモーター「心臓部」開発で瀬在総長と長年の共同研究歴があり、高度先端科学技術が社会の付託にどう答えて行けるのか、「IT戦略」の延長上で基本的なシナリオの方向性を明示する。

瀬在、石井両教授おのおのの問題提起後、壇上でお二人に直接意見を交換して頂く。進行は元三菱総研常務の杉野昇 日本大学教授が担当され、この対話を第二部にバトンタッチする。


*「動け!日本」と知識構造化戦略

第二部「承」は、第一部の広汎な問題を整理し、焦点を絞った杉野教授の講演で開始する。これを受けて、東大工学部の松本洋一郎教授が具体的な対案の骨組みとなる「知識構造化」について講演する。松本教授は先に内閣府と東京大学が共同で推進した「動け!日本」プロジェクト(小宮山宏委員長、松島克守主査)の工学部側の中心人物で、「学術創成知識構造化」プロジェクトの責任者でもある。

「動け!日本」など東京大学の新しい取り組みの背骨となっている「知識の構造化」ならびに、目的用途に応じた「オンデマンド可視化技術」を直ぐに生かすことが可能である分野に、多様化する大学教育があげられる。東京大学工学部では「教育プロジェクト室」を新たに設置、これに取り組んでいるが、ここで再度、「カリキュラム構造の3次元可視化」という文脈から「3D技術」がクローズアップされる。

「学術創成知識構造化プロジェクト」リーダーの松本洋一郎教授、ならびに同プロジェクトメンバーで教育プロジェクト室長、前評議員の藤原毅夫教授を加えたディスカッションののち、、第三部「転」へバトンタッチする。


*本音で激突、生トーク

第三部「転」はパネルトーク形式で、「3Dコンソーシアム」と多様な専門分野の現役東大教授陣とがライブ・トークセッションで激論を交わす。「3Dコンソーシアム」から、大手を代表して会長の片山幹雄 シャープ取締役、ベンチャーを代表して泉 邦昭 インターサイエンス代表取締役を壇上にお迎えして3D技術の可能性とともに大学に大いに注文をつけていただき、光石衛(高度先端医療機器)、関村直人(原子力システム安全管理)大場善次郎(教育プロジェクト室)小林寛道(身体運動科学)の4教授(4つのキーワード:「健康」「医療」「安全」「教育」)がこれに応える。登壇者はいずれも、音に聞こえた強烈な個性の持ち主。これが壇上にそろい、 予定調和なし、敢えてシナリオなし、脱線続出OKの「生トークバトル」による「転」が展開される。請うご期待。


*有言実行のアクションプラン

本音のトークバトルを受け、ストッパーに大学として現実に社会の付託にお答えする「結」として、教育プロジェクト室長の藤原毅夫・物理工学科教授がシンポジウムを締めくくる。物理学者らしく極めて慎重入念な準備の上、有言実行の果断なリーダーシップで知られる藤原教授から、本当に実現できる21世紀アカデミズムのアクションプランを示し、長時間のシンポジウム内容を実際のムーブメントに結びつける。


*先端3D技術をその場で体験

なお、当日は安田講堂内に東大、3Dコンソーシアム会員企業その他の技術展示を併設する。世界最小、最高精彩3D内視鏡(新興光器製作所)など、来場者が次世代標準の最先端視聴覚テクノロジーを生で体験することができる。


本シンポジウムの制作担当者、および当日の進行、司会などは伊東 乾東大助教授
問い合わせ:itosec@iii.u-tokyo.ac.jp


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