| 有用な機能を発現するようなナノ構造体の設計において、理論・計算機シミュレーション技術を用いることによる、高効率化が「ナノシミュレーション」である。ナノレベルの計測や実験は実際には容易でないため、研究開発の効率化の観点から、実験の前にコンピュータシミュレーションを行ない、有用な結果を得たものについて、研究開発の対象を絞り込んでいく方法として、ナノシミュレーションが求められている。
ナノシミュレーションの適用分野として、例えば、半導体の開発のためのデバイス設計CAD、製造装置シミュレーション、表面詳細解析、材料設計などがある。コンピュータの神経細胞とも言える、トランジスタの材料となっているのがシリコンである。100ナノメーターのトランジスタは、1億個のシリコンが規則正しく整列した結晶から作られているが、このように、きれいな結晶を作り出すために、コンピュータシミュレーション技術を用いる。 次世代の機能材料の創製・開発のためには、分子をナノスケールで精密に制御することが必要である。このためには、予めコンピュータで分子を構築し、分子レベルでの構造や物性のシミュレーションに加えて、これら分子の集合体をナノオーダーで制御するために分子間の相互作用もシミュレーションする必要がある。
原子または分子のシミュレーションで、ナノスケールの複雑な現象を予測するためには、量子力学に基づくシミュレーションが求められる。 ナノシミュレーションのための計算ナノテクノロジーとは、ナノスケールシステムのデザイン、キャラクタリゼーション、オペレーション、分析、最適化などを含む。このように、ナノシミュレーションは量子力学に基づき半導体ナノデバイス開発に必要な材料設計、ナノスケールで発現する物性予測、機能設計の実現を目指している。
出典: オープンナレッジ 、「ナノテクノロジーハンドブック」 |