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子虎ネット


「子虎ネット」開発の概要

 近年では、政府のe-Japan計画の推進や、一般家庭へのブロードバンド・ネットワークの普及等により、誰でもインターネットへ簡単にアクセスできるようになっている。その結果、小学生でさえも自分の電子メールアドレスで情報交換を行うことが当たりまえになり、中には自分のホームページを立ち上げ、積極的に情報を発信している子供たちもいるのが現状である。

 このように、情報へのアクセス環境、つまりインフラストラクチャの整備は順調に進行していると言えるが、しかしながら情報の利用環境に関しては今なお多くの問題が残っている。特に深刻なのは、ウェブ検索の問題である。

 現在の検索エンジンは、子供が行うウェブ検索も、大人が行うウェブ検索も、検索に使う言葉が同じ場合、検索結果は全く同じである。子供に対するウェブの影響を考慮すると、子供には子供のための専用のウェブ検索環境を提供することが非常に重要である。また、教育的な観点においては、知的発達過程にある子供に対しては、検索を通じた学習までも考慮したウェブ検索システムの構築がより望ましいと考えられる。

 

 子供は子供の観点からウェブを検索する。そのためウェブ検索結果は、その量と質から子供の観点を考慮し、しかも知的刺激を与えられるものである必要がある。

 例えば、検索エンジンの“google”で果物の「リンゴ」に関する情報を検索する場合は33万件以上の情報が検索される。「Apple」だと870万件以上が検索される。しかしながら、この検索結果には二つの問題がある。

 第一に、情報の量の問題である。こんなに莫大な検索結果から自分が欲しがる情報を探せる子供は少ない。例えば、単純にリンゴに含まれているビタミンCの情報が欲しい子供には何十万件とか、何百万件といった検索結果は、子供の検索意思を低下させるのに十分である。

 第二に、情報の質の問題である。この検索結果の中には“リンゴ居酒屋”とか“リンゴクラブ”などの情報も混在されている。このような有害な情報から子供を保護するためには、上記の莫大な情報から、あらかじめ決められたキーワードを含んでいる情報を除く方法が一般的である。 

 

 しかし、注目されるキーワードを入れずに情報を発信することで、子供への接近を暗黙に促すサイトが多い。このように、情報へのアクセスは簡単にできても、情報の利用が簡単且つ有効でない環境では、子供が利用するインターネット環境は「子供のための」環境ではなくなる。

 そこで本提案は、子供のためのウェブ検索支援システムの開発により、子供達に知的探求心をより一層満足させながら、知的刺激を与えるサイバー教育環境の構築を目指す。

 そのために、小学校の教科書を始めとした小学生向けの知識を分析し、有用な知識を抽出することでオントロジー情報を構築する。さらに、検索の絞込みに至った結果(検索経路)をデータベースに保存し、再利用することで、意図する情報へのアクセス性の改善を狙う。また、これらデータベースを管理運用するためのソフトウェアを設計し実装する。

「子虎ネット」の開発目的

「子虎ネット」は、子供のウェブ検索支援システムの開発により、子供達に知的探求心をより一層満足させながら、知的刺激を与えるサイバー教育環境の構築を目的とする。

 「子虎ネット」を構成するのは、経路探索データベースとその運用ソフトウェアである。即ち、検索結果を一定水準以上の量と質にし、子供に有効な情報のみ検索できるように支援するものである。

 「子虎ネット」が提供する経路探索データベースは子供個人あるいは小学校単位での検索基盤として利用される。運用主体はこの基盤に新しい情報を追加し、あるいは登録内容を更新しながら、自分固有の経路探索データベースを作る。

 経路探索データベースは一つの知識基盤としても働き、小学生の授業や学習活動のためにも利用される。複数の小学校間で情報を共有すれば、巨大な子供用の知識基盤へと発展する。


「子虎ネット」の新規性

 例えば、「リンゴ」という検索語から検索された34万件の情報は、その中から「ビタミンC」を含む情報を持つサイトだけに絞って検索すると8千件に減る。

 「みかん」を入力して検索するとその対象は2千件となる。また、その中から「原産地」を含むサイトを検索するとその検索結果は100件になり、さらにそのうち「京都」を含むサイトは26件だけが残る。この26件の中から「温州みかんにはガン抑制効果がある」という情報を得ることができる。

 

 つまり、検索のためには、どの内容からどう絞って行くかがひとつの観点になる。この「絞っていく過程」をここでは「検索経路」と呼ぶ。例えば、りんご→ビタミンC→みかん→原産地→京都は、りんごから始まる一つの検索経路になる。ある概念から始まる検索経路は複数存在する。これは、検索経路は検索目的の他にも、検索者の経験、学歴、知識、時間、理解できる言語などから影響されるからである。

 

 子供のための検索経路は小学校の教科課程などを反映して意図的に作ることもできるし、また、子供たちが自分からつくることもできる。「子虎ネット」は、子供のウェブ検索も学習過程の一環として捉え、教科書などを反映して意図的かつ半自動的に作成する。その結果はオントロジー情報として表現され、参考用の検索経路として子供に提供される。子供はこの検索経路を参考にして、ある概念に関連する内容を検索していく。また、検索経路には、教科書の情報や、辞典の情報のみならず、子供のためのお勧めサイトや関連する情報も添加することが可能である。

新規性は、

1.検索経路(オントロジー情報)による、子供の「ための」ウェブ検索が可能

この方法によって、いままでとは全く違う検索環境を子供に提供できる。その結果、子供の知的発達過程はもっと活発になり、ある概念について、深くて広く考えることができるようになる。

2.教科内容等の外部知識を検索過程に反映できる

「子虎ネット」は検索行為を学習活動の一環として捉えているため、教科内容や各種辞書、辞典等の内容を反映した検索経路(オントロジー)を作成する。この検索経路は参考用として子供や小学校などに提供される。その後、ユーザとしての子供や小学校では、独自の教科内容から新しい概念を取り出して、検索経路に追加するか既存の内容を修正することができる。また、小学校で独自に運営している検索経路を、ある地域の小学校などがその内容を統合して運営することによって、本検索経路はもっと広くて深い内容になる。

3.検索経路から知識基盤へ発展できる

ユーザからの内容の追加や修正、そして、地域間の統合運営などによって、検索経路は成長する。その結果、検索経路は一つの知識基盤としても捉えられる。したがって、この知識基盤は、教育活動をもっと豊かにするための基盤として利用可能である。この知識基盤は、教育活動の支援、ウェブ上の情報検索支援、子供の知的発達過程の支援などに利用される。また、中学校や高校などの教科内容まで含めて拡張することで、この知識基盤の応用範囲はもっとも広くなると期待される。


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